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by Futomi Hatano

Google、ビデオ・コーデック VP8 をオープンソース化

米サンフランシスコで開催されている Google I/O 2010 の基調講演にて、VP8 と呼ばれるビデオ・コーデックをオープンソース化することが発表されました。

かねてから HTML5 のビデオ・コーデックについては問題となっていましたが、VP8 がオープンソース化することで、その動向に変化が出てくるかもしれません。

VP8 は、もともとは On2 と呼ばれる企業が開発したコーデックですが、Google が On2 を買収したことにより、兼ねてから VP8 がオープンソース化されるのではないかと期待されていました。世間の期待通り、このたびの Google I/O で、それが発表されました。

VP8 とはコーデックの名前ですが、そのデータを包むコンテナーの規定も欠かせません。そこで登場したのが、WebM と呼ばれるコンテナです。この WebM というコンテナーに、ビデオであれば VP8 を、オーディオであれば Vorbis をコーデックとして採用することで、利用可能となります。WebM Project のサイトには、WebM の概要から、詳細な仕様まで、すべてがオープンになっています。

Google I/O では、Mozilla や Opera も VP8 / WebM をサポートすることが表明され、Firefox や Opera ブラウザーにも実装が始まっています。すでに、VP8 実装版がダウンロードできる状態となっています。詳細記事とダウンロードは以下の通りです。

これまで、HTML5 のビデオ・コーデックとして、H.264 と Theora が各ブラウザーに実装されてきましたが、ブラウザーによって、どちらを採用するのか、統一されていませでした。このあたりが、HTML5 のビデオの普及の妨げになると懸念されていました。

また、H.264 はロイヤリティ・フリーではありません。現在は暫定的にウェブでの配信や視聴については無料とされていますが、恒久的な取り決めではありません。そのため、将来的に、ロイヤリティがどうなるかについては分からないというリスクがあります。一方、Theora はオープンなため、ロイヤリティが不要です(サブマリン特許などのリスクは否めませんが)。とはいえ、ビデオのクオリティは、H.264 に軍配が上がると言われていました。しかし、VP8 の登場で、クオリティ面での懸念はなくなったといえるでしょう。

Google の Chrome をはじめ、Firefox や Opera が VP8 / WebM を実装しただけでは、これまでの Theora / Ogg と状況は変わりません。もちろん、VP8 のコーデックによって、ビデオ品質は向上しますが、対応ブラウザーが広がらない限り、普及が見込めません。ところが、ここに Microsoft が登場しました。

Google I/O の基調講演に合わせたかのように、Microsoft の Windows Blog に次の記事が投稿されました。

この記事の投稿者は、IE チームのマネージャーでもある Dean Hachamovitch 氏です。この記事では、VP8 コーデックを Windows にインストールすれば、Internet Explorer 9 でもサポートすると言っています。Windows という OS のベンダーであり、かつ、Internet Explorer を Windows 版しか用意していない Microsoft らしいアプローチといえます。Chrome, Firefox, Opera のように直接的にコーデックをブラウザーに組み込む訳ではありませんが、いずれにせよ、同じコーデックでエンコードしたビデオを同じマークアップで再生できることには違いありません。

さらに、Google I/O では、Adobe が Flash で VP8 / WebM をサポートすると表明しました。これによって、古いブラウザーでも VP8 / WebM のビデオが再生できるようになることが期待できます。

また、コンテンツ・プロバイダーや、その他企業も、数多く、VP8 / WebM をサポートすると表明しています。WebM Project のサイトに、VP8 / WebM をサポートするソフトウェア、ハードウェア、配信事業者などがリストされています。

私個人的には、Google I/O の最も大きなサプライズは、この点だったのではないかと思えるくらいです。

これで、現段階で、主要ブラウザーのうち、VP8 / WebM のサポートを全く表明していないのは Apple だけとなりました。現在、Safari は H.264 をサポートしており、iPhone や iPad でも再生可能です。しかし、iPhone, iPad では Flash が利用できないため、これらのデバイスでビデオを再生する手段は、H.264 しかありません。しかし、コンテンツ・プロバイダーから見れば、複数のビデオ・フォーマットを準備するのは現実的とは言えないでしょう。個人的には、ぜひ、Apple も前向きに検討してもらいたいところです。

この投稿は 2010年5月20日 木曜日 10:33 AM に ブラウザー カテゴリーに公開されました。 この投稿へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。

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