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by Futomi Hatano

ビデオに字幕を入れる overlay 要素が提案される

先日の HTML5 TechTalk #2 で、ビデオに字幕を入れるデモをご紹介しましたが、時を同じくて、WHATWG にて、video 要素などのメディア要素に字幕を入れるメカニズムとして overlay 要素が、Opera Software の Philip Jägenstedt 氏より提案されました。

すでに、WHATWG のサイトで「Video Overlay」という記事が投稿されており、具体的な提案がなされています。

<video src="video.ogv">
  <overlay src="captions.srt">
</video>

このように、video 要素の子として overlay 要素をマークアップし、その src コンテンツ属性に字幕ファイルを指定します。source 要素を使って、言語に応じた字幕ファイルを採用するというメカニズムも提案されています。

<video src="video.ogv">
  <overlay>
    <source src="captions-english.srt" lang="en"></source>
    <source src="captions-simplified-chinese.srt" lang="zh-Hans"></source>
  </overlay>
</video>

字幕ファイルについては、すでに広く使われている SRT という形式が提案されています。しかし、そのパース方法がアプリケーションごとに異なっているようで、この提案では、SRT 形式のパーシング・アルゴリズムを規定する必要があると言っています。

現状、ビデオに字幕を入れる場合には、スクリプトを使う必要があります。video 要素から発出される timeupdate イベントをリッスンし、そのイベントのコールバックで、現時点のビデオ再生時間を取りだして、該当の字幕を div などの要素の中に挿入して、それを表示させるしかありません。しかし、timeupdate イベントは、ビデオ・フレームごとに発出されるのではありません。HTML5 仕様では timeupdate イベントの発出頻度を 250 ms 以内と規定しています。しかし、それ以上に高い頻度でのイベント発出についてはブラウザーの実装に任されることになります。会話がゆっくりとしたビデオなら、あまり問題になりませんが、映画やディスカッションといったテンポが速いビデオ・コンテンツでは、遅れが生じる可能性があります。

今回の提案では、字幕表示のメカニズムをブラウザー側で実装することで、その問題を克服されることが期待されます。

そのほかにも、ブラウザー側で字幕表示メカニズムが実装されることで、ビデオのフルスクリーン表示の場合の字幕表示、CSS によるスタイリングなども解決できます。しかし、何よりも、このメカニズムが HTML 仕様として規定されることに大きな意味があります。それはアクセシビリティです。もし、このメカニズムが HTML の標準仕様として採用されれば、スクリーン・リーダーのような支援テクノロジーも、それをサポートすることができるようになります。

アクセシビリティというと、ハンディキャップを背負ったユーザーについての文脈で語られることが多いのですが、このビデオに関して言えば、あらゆるユーザーがその恩恵を受けることができるのではないかと、私は期待しています。

近年、さまざまなコンテンツがビデオで公開されています。しかし、世界的に見れば、特に最新テクノロジーに関するものなら、やはり英語のコンテンツがほとんどです(特に、インターネット業界においては)。文章なら、辞書さえあれば、我々でもなんとか理解できます。しかし、ビデオでは、そういうわけにはいきません。私も含め、英語が得意でないユーザーにとって、そのビデオ・コンテンツはアクセシブルではないのです。

もちろん、ビデオの提供側が日本語の字幕を用意しない限り、意味はありません。しかし、その決まった手段すらなく、実現しようとしても、スクリプトが必須となり、その手段は独自のものとなる現状と比べれば、HTML の仕様としてそれが規定されることは、非常に大きな意味があるのではないかと考えます。字幕挿入が簡単にできるのであれば、多言語による字幕の提供に関してモチベーションもあがるでしょうし、場合によっては、ボランティアで字幕を用意する人が現れ、それを提供元に提供する、といった活動も期待できます。

HTML5 仕様は、WHTATWG では、すでに Last Call となっていますので、現時点でこのメカニズムが採用される可能性は低いでしょうが、HTML5 の次の仕様(HTML6 と呼ばれています)で採用されることを期待します。

この投稿は 2009年11月29日 日曜日 9:56 AM に 未分類 カテゴリーに公開されました。 この投稿へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。

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